不妊治療・出産・子育て

持病などの妊娠のリスクは?

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不妊症や赤ちゃんがなかなかできないという方たちも持病で赤ちゃんに何か影響が出てしまうのではないかと心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は持病などの妊娠のリスクについてお話させていただきたいと思います。

キーワードは計画妊娠

持病のある人の妊娠(合併症妊娠)を成功させるためのキーワードは「計画妊娠」です。病気持ちながらの妊娠には、どのようなリスクがあるのでしょうか?

整理すると次の四つのことがあります。

  1. 妊娠していることにより、お母さんの病気が悪化する
  2. お母さんの病気のせいで、妊娠がうまくいかない
  3. お母さんの病気のせいで、赤ちゃんに悪い影響が出る
  4. お母さんが使用しているお薬が原因で、赤ちゃんに悪い影響がでる

1~3のリスクを避けるためには、お母さんの持病をしっかり治すことが大切です。しかし、4つのリスクが気になってお薬の使用をためらい、病気をわるくしておくすりしまっては出産や育児がうまくいくはずもありません。
妊娠、授乳中のおくすりに不安があるようでしたら、「妊娠と薬情報センター」をご覧ください。相談方法も書かれています。

「うつ・不安障害」

妊娠・出産する女性に多い病気で、選択式セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やベンゾジアジピン系薬剤などで治療します。これらのお薬は胎盤でできる妊娠中期以降は、お薬が赤ちゃんに移行します。
そのため赤ちゃんが生まれた直後に自分で呼吸ができないとか、しばらくしてお薬が切れたことによる新生児薬物離脱症候群がみられることがあります。
ですから、可能であれば妊娠前にかかりつけ医に妊娠希望を伝えて、お薬の種類や量を減らすことを医師と一緒に試みられるのがいいでしょう。
それができない場合は生まれたばかりの赤ちゃんをしっかり観察できる医療機関での出産をおすすめします。

「てんかん」

抗てんかん薬の中には赤ちゃんへの影響を心配しなくてはならないものがあり、薬剤の使用方法に注意と工夫が必要です。かかり医とよく相談して、お薬を調整していくとよいでしょう。
一番優先すべきは、てんかん発作をおこさない、ということです。かかり医とよく話し合ってから妊娠に臨みましょう。

「関節リウマチ」

抗リウマチ薬を上手に使えば、関節炎がない状態にできる可能性の高い病気です。
「妊娠を希望しているから抗リウマチ薬は使いたくない・・・」と考える女性もいます。リウマチの治療と妊娠・出産を両立させるコツは、安全性の高い抗リウマチ薬を上手に使うことです。リウマチは妊娠すると「妊娠というお薬」によりかるくなります。
産後は早めの抗リウマチ薬の再開をおすすめします。
母乳栄養と両立できる抗リウマチ薬も多くありますので、「自分が痛みさえ我慢すればいいのだから」と、やせ我慢は禁物です。

「全身性エリテマトーデス(SLE)」

SLEは全身の炎症を起こすような病気で、ステロイド剤や免疫抑制剤で治療します。
SLEも炎症が完全に止まった。寛解状態で妊娠することが、重要です。
ただ、リウマチと違って寛解状態といっても完全に火種が消えてないことが多いので、妊娠中もステロイド剤、場合によっては免疫抑制剤を継続する必要があります。
寛解状態であっても、肝機能が低下している、肺高血圧症があるなど、重大な内臓の障害がある場合は、妊娠をすすめられません。
抗SS-A抗体や抗リン脂質抗体という特殊な物質を持っている場合には、特別な注意を要します。
ほかにSLEそのものが妊娠中に悪化するケースもありますので、経験の多い医師や施設で管理してもらう方がいいでしょう。

バセドウ病

自己抗体である甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体抗体が原因で甲状腺ホルモンが過剰に生産される、すなわち「甲状腺機能亢進症」となる病気です。
甲状腺機能亢進状態で妊娠した場合には、流産・早産や妊娠高血圧症候群の頻度が増えるので、お薬などで甲状腺機能を正常化(寛解)させてから妊娠する必要があります。
お薬の中には赤ちゃんの形態異常のリスクが疑われるものがあるので、かかりつけ医と相談しながら計画妊娠しましょう。
バセドウ病の元となるTSH受容体抗体は胎盤を通過します。寛解状態にない場合や寛解状態であっても手術やアイソトープ治療後の場合は、お母さんのからだでTSH受容体抗体が生産され、赤ちゃんにバセドウ病と同じ症状(頻脈や甲状腺腫など)が出る場合があるので、経験の多い医師や施設で管理してもらう方がいいでしょう。

橋本病

「慢性甲状腺炎」ともいって、甲状腺の慢性炎症を生じ、「甲状腺機能低下症」の原因となる病気です。
この病気の体質を持つ女性は、決して少なくありません。
治療を必要とする甲状腺機能低下症かどうかが重要です。甲状腺機能低下症は、機能低下が軽度であっても不妊の原因や流産の原因になるので、妊娠を希望する場合は、あらかじめ甲状腺機能を十分にコントロールすることが大切です。



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