楚という謎の超大国。
キングダムの前半では登場することがなかった、楚という国ですが、合従軍の戦い辺りから登場し、楚の武将の層の厚さ、国土の大きさから間違いなく政率いる秦軍の最大のライバルになることが予想されます。
史実においても、これからキングダムで描かれるであろう楚との超大戦が実は起こります。
※秦軍だけで60万人規模
今回はそんな超大国楚の武将について書かせていただきたいと思います。
これを読んでいただければ、これからのキングダムがますます面白くなること間違いなしです。
是非最後までご覧ください。
【キングダム】春申君(しゅんしんくん)
中華の頂点位置する楚を一手にまとめ上げた名宰相戦国四君春申君(しゅんしんくん)
楚の宰相であり、戦国四君の最後の一人でもある春申君は、他国の人間からも
「文官・武官を問わず中国全土の現役で格付けすれば頂点に位置する御仁だ」
キングダム第269話
と評される人物です。
はじめての登場は合従軍の総大将として登場しました。
また、秦が山陽(さんよう)を奪取したことで、中華全土の掌握に着手していたことに気づいた数少ない一人でもあります。
項翼(こうよく)や白麗(はくれい)から
「相変わらずの口の悪さ」
と言われるほど、政治家としては苛烈な言動を好み、一方で、合従軍を興したことについても
「詰みの手をうってきたなら、その盤場を叩き潰すのが一番だ」
と血の気の多い一面も合わせ持っています。
臨武君(りんぶくん)いわく春申君は
「無駄を嫌う」
性分であり、性格に難があろうと戦いの天才である媧燐(かりん)を楚の第2将に任命するなど、実力重視の人物であることがわかります。
合従軍という形で他国と連携してはいるものの、その腹の中はやはり自国である楚の名誉を第一と考えており、楚軍総大将・汗明が討ち死にした報告を受けた際は、卓を蹴り上げて激情をあらわにし、自ら軍を指揮し楚軍の挽回をはかろうともしました。
結局は李牧にたしなめられ、動くことはありませんでしたが、それほどまでに春申君が合従軍での功を求めるのには理由がありました。
たとえ実際に軍を動かしているのは李牧で、春申君が
「ケツを蹴って回る役」
マンガキングダム第269話
でしかなかったとしても、名目上は総大将は春申君であり、敗戦の責任は彼に向けられるからでした。
結局、秦軍の奮闘によって函谷関の戦いでは合従軍の敗北に終わりました。
その後、合従軍を離脱した裏切り者として斉(せい)に矛先を向けるも、蒙武軍の追撃によって、それも失敗に終わってしまいます。
結果として、合従軍の大将であった春申君は敗戦の責を負わされ楚の田舎都市である来虎(らいこ)に左遷されることになります。
史実のよれば函谷関の戦いから3年後の紀元前238年に春申君は暗殺されてしまいますが、項翼や白麗といった若い武将も育っている楚がこのままおとなしくしているとは考えにくくその死が訪れる前に、春申君がもう一度その手腕を振るう機会が訪れるかもしれません。
【キングダム】汗明(かんめい)
中華最強を自負する楚の大将軍汗明(かんめい)
汗明(かんめい)は周囲の六国を合わせたものより大きい国土を持つ楚において、15万の軍を束ねる総大将です。
軍師目線で言えば無謀でしかない蒙武の策を
「あの5千でこの汗明(かんめい)本陣一万を破る武の保証があるなら策としては上策だ。」
マンガキングダム第309話
と認めるなど、策よりも力を重んじている将軍であり、過去には秦軍最強を誇っていた六大将軍の1人、王齕を退けたとされています。
しかし汗明(かんめい)はたとえ相手が六将であっても戦の勝利に喜び浸ることはありません。
そして、その理由を、
「なぜならとっくに悟っているからだ。この汗明(かんめい)は天の気まぐれで人の枠を超えて生まれ落ちた者。超越者であることを」
マンガキングダム第311話
と述べ、自らの戦う意義を、勘違いした弱者を叩き潰すことにあると語るなど、おのれに対する絶対の自信を持っています。
中華の至強を決める蒙武との戦いの果てに
その膂力(りょりょく)は巨大な鎖分銅(くさりふんどう)を軽々と操り、同じく中華最強を自負する蒙武と相対した際も、わずか二撃でもって力の差をみせつけました。
しかし全力を引き出そうとして戦う蒙武との一騎打ちは、互いの腕を叩き合う一進一退の様相を呈します。
歴戦をくぐり抜けた有価の大将軍としての力を持つ汗明が上回るかと思えば、蒙武は理屈を超えた力でそれに対抗し、互いの骨と武器を砕き合いながら続く死闘はあと少しで決着がつくかと思われましたが、
その戦いに横やりが入ります。
汗明の大錘がくだけた瞬間、媧燐(かりん)のよって送り込まれた兵が背後から蒙武を突こうとしたのでした。
割って入った蒙恬によりそれは防がれましたが、蒙恬は一騎打ちを邪魔された汗明に切り伏せられてしまします。
結果的にこれが汗明の命取りになってしましました。
息子を切られたことで激高した蒙武は一撃で汗明の刃を砕き、次の一撃で彼の頭を粉砕したのでした。
合従軍の武の象徴であった汗明の死は合従軍にとって大きな痛手となり、函谷関の戦いでの明暗を分ける一因となりました。
【キングダム】臨武君(りんぶくん)
強者を食らい死してなお軍の士気を高める猛将
臨武君(りんぶくん)は登場した当初こそ年若い項翼(こうよく)をたしなめる大人びた様子の人物でしたが、戦が始まったとたんその様子は一変し、全身闘志をみなぎらせ、5万の兵を率いる将軍として騰(とう)軍第五軍長・同金(どうきん)を一撃で撃破し、函谷関の戦いでは第一軍長・録鳴未(ろくおみ)をねじ伏せるなど圧倒的な武力を見せつけました。
大国楚の将軍にのし上がるまでに数々の猛者たちを打倒し、修羅場の中でおのれを鍛え上げてきた臨武君でしたが、天下の大将軍たる王騎を支え続けた騰には力及ばず、一騎打ちの末敗北しました。
第一軍の将でありながら初日で打ち取られてしまった臨武君(りんぶくん)ですが、その死は兵たちの士気を下げるどころか、将軍の敵討ちへとその気運を駆り立て、楚軍に大きな火をともしました。
死してなお兵たちの士気を高めた彼はまぎれもない名将だったといえるでしょう。
【キングダム】媧燐(かりん)
【キングダム】媧燐(かりん)昌平君の姉?モデルは和田アキ子?戦局全体を操る戦の天才
知られざる知将大胆にして緻密な戦略を操る
楚軍の第二将として現れた媧燐(かりん)は、宰相・春申君(しゅんしんくん)から戦いの天才と言われ、汗明亡き後の楚軍の指揮をとるべくその姿を現しました。
女だてらに汗明(かんめい)と並ぶほどの身長をほこる名前とは程遠い媧燐(かりん)ですが、見た目とは違いその戦い方は緻密で練り上げられた策略にとんでいます。
戦に必要なもの
「華やかさと恐怖そしてひとそえのかわいらしさだ」
マンガキングダム第296話
と語り、戦象の投入や隣の戦場への攻撃など奇襲を行いました。
しかし、戦術はすべて計算しつくされた策略でした。
次々と戦況を読みあて、一度は函谷関攻略に王手をかけた媧燐(かりん)でしたが、王翦(おうせん)の活躍によりそれは防がれてしまいました。
しかし、函谷関の評価や春申君の失脚もあり、
「楚軍全体の第二位」に位上げされた媧燐(かりん)が、今後秦軍の強敵になることは間違いないと考えられます。
【キングダム】項翼(こうよく)
項翼(こうよく)は大将軍所縁の者
楚の若き千人将である項翼(こうよく)は、普段は口が悪く思慮に欠けるように見えますが、ここぞという場面では大きな力を発揮する、信に似た、気質を持つ人物です。
その秘めたポテンシャルは、最年少「中華十弓」にして同じく時代の将になるであろう白麗(はくれい)から
「翼の才能は俺が一番評価している。あいつは先で絶対に将軍になる男だ」
マンガキングダム第307話
と言われ、
事実現時点でははるかに各上であろう騰と長時間斬り合ってみせました。
希代の妖刀・莫邪刀(ばくやとう)の持ち主である項翼(こうよく)ですが、一介の千人将である彼が、「五大宝剣」に名を連ねる刀を持っているのかという点は、項翼(こうよく)は項燕の息子がモデルかもしれないといわれています。
後に項燕は、20万という大軍を率いる李信(りしん)と蒙恬(もうてん)の軍を破り、天才的な戦闘能力を持つ大将軍となる人物です。
そのためその血筋である項翼(こうよく)が希代の妖刀・莫邪刀(ばくやとう)をもっているのではないかと推測できます。
楚は、中国に周代・春秋時代・戦国時代にわたって存在した王国。現在の湖北省・湖南省を中心とした広い地域を領土とした。首都は郢と称したが、名前が同じだけで場所は何度か変わっている。
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