学校では教えてくれない歴史の話 学校では教えてくれない!歴史の話(春秋戦国編)

【キングダム】全てが想像の産物だった?キングダムのほとんどの戦争は想像の出来事!

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【キングダム】信の嫁候補は誰だ?!史実では、、

キングダムは史実での記述が簡潔すぎるため戦争の描写は詳細を想像で補いつつ描いていた

戦国時代という戦乱の時代であったこと、は武力による中国統一を目指していたこと、主人公・信が大将軍となるまでを描く物語であることなどから、それは当然といえば当然なのですが、実は『キングダム』で描かれている戦争は、ほとんどが「フィクション」なのです。

合従軍の戦いでは李牧は実は参加していないとか・・・

キングダムはだからこそ面白い!詳細不明なら「盛り上がる」展開に!

『キングダム』は、戦国時代末期から秦の時代までを描いていますが、この時代の出来事を今に伝える資料としては、主として司馬遷(しばせん)の『史記』と、劉向(りゅうきょう)がかいた『戦国策』があり、『キングダム』もこの2つをベースにしています。

しかし、この2つに限ったことではないですが、古代中国の歴史書は、出来事を簡潔に書きとめているだけであり、戦いについても、長平の戦いなどのように凄惨すぎるなど何らかの特筆すべきことがあった場合を除き、

「○○年、××が口口を破った」

「AAの城を陥落させた」

といった描写のみで、細かな経過やそのときの両軍の布陣などには全く触れられてはいないません。

『キングダム』では、間違いなくこれまで最大の山場は、25巻262話から33巻334話という73話もかけて描かれた合従軍との戦いでしょう。

そして第三シーズンのアニメ間違いなくこの戦いがメインになるでしょう・・・

楚の禍燐(かりん)や魏の呉鳳明(ごほうめい)といった新たなる強敵の出現、蒙武(もうぶ)の覚醒、麃公(ひょうこう)将軍の死、 蕞(さい)攻防戦、龐煖(ほうけん)と信の一騎打ちなど、見せ場がこれでもかと詰め込まれていました。

そんな合従軍戦ですが、『史記』には、

春申君、相たりて二十二年、諸侯、秦の攻伐の已む時無きを患う。乃ち相與に合従して西して秦を伐つ。而して楚王、従の長と為り、春申君、事を用う。函谷関に至る。秦、兵を出だし、諸侯の兵を攻む。首敗走す」

(『史記』春申君列伝)

といった記述があるのみで、叢(さい)攻防戦に関しても、

「四年、龐煖、趙・楚・魏・燕の鋭師を将いて、秦の最を攻む。抜けず。移して首を攻めて、饒安を取る」

(『史記』趙世家)

とあるだけで、『キングダム』で描かれたような戦争の経緯は見当たりません。

また、ほかの戦いも同様で、戦争の詳細な推移に関しては、ほとんどが原先生のイメージによるものなのです。

ですが、これは特に作品の魅力を損なうことには決してなりえませんし、逆に原先生は、これを作品の魅力に繋げることに成功しています。

作品が政の中国統一を描いているわけですから、戦闘そのものの描写を除外することはできるはずはありません。

戦闘の詳細が不明なのはしかたのないことですし、2千年以上昔の出来事を、今更調べなおすことも不可能です。

そこで原先生は、詳細不明を逆手にとり、戦闘の推移を想像で補って、作品のメリハリ、山場として利用しているほか、実際の歴史と異なる設定であったり、オリジナルキャラを登場させることによってできた史実との違いを、想像した戦争展開によって回収しているのです。

『キングダム』は歴史書ではなくあくまで歴史を元にした「マンガ」ですので、面白くなる上に整合性まで取れるとなれば、それはもう欠点ではなく魅力のひとつとなるのです。

キングダムで昌平君が見せた「包雷(ほうらい)」 も架空の戦術

毐国の反乱の際、軍を率いて反乱鎮圧に向かったのは、これまで宮廷で策を練るだけだった昌平君(しょうへいくん)でした。

彼の軍師としての才能は、合従軍戦をはじめとしたこれまでの戦いで十分に見せていましたが、実際に軍を率いて戦ったのは、『キングダム』中ではこれが初めてです。

昌平君は431話で「包雷」という戦術を用いてさらにその軍略家としての力を見せ付けたばかりか、自ら陣頭に立って敵軍に突入し、「智」だけではなく「武」のほうも将軍級であることを証明していますが、この昌平君がとった「包雷」という戦術も、やはり架空のものです。

作中の描写によれば、「包雷」とは左右と後方に壁を作って敵を囲み、正面の軍が攻め入るという戦法で、本来なら大規模・広範囲な戦場で使うものだそうです。

この戦法の元ネタは……と、考える必要はありません。

古来、それこそ『キングダム』の時代より遥か昔からさんざん実戦の場で使われてきた「包囲殲滅」がその基本となっているのは確かです。

先述のとおり、「包雷」は作品中では大規模・広範囲な戦場で使うとされていますが、「包囲殲滅」が元なら、自軍が敵軍より数的優位なときに最大の効果を発揮すると考えられます。

逆に言えば、作中で昌平君がやったように寡兵でこれを行えば、相手より少ない兵をさらに4分割して包囲するのですから、一つの壁が敵側に集中攻撃された場合に耐え切ることができず崩壊してしまい、簡単に突破・離脱を許してしまう結果となるところです。

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そうなってしまえば「愚策」となってしまうはずなのですが、

そこは原先生、いろいろと考えてらっしゃいます。

あきちゃん
あきちゃん

まず寡兵でこれを行うとしたところで、昌平君が相手の裏の裏をかく天才軍師であるという部分を描き、敵の後方で乱戦となっていたところを河了貂(かりょうてん)が壁の状態に持っていったことで、河了貂(かりょうてん)の才能が並ではないことも読者に印象付けています。

それに加えて、包囲された戎霍公が、数において劣る正面の突破を狙ってきた際に、昌平君が自ら先頭に立って少ない兵数でこれを討ったことで、昌平君の武力が尋常ではないことも描いています。

これこそが、史実では戦闘の詳細が不明なことを逆手に取った原先生の見事な手法なのです。

話は前後しますが、巻379話から夕巻401話で描かれた、奢先の戦いも同様です。

史実ではこのような戦争は見当たりませんが、あえてこの時期に戦いを起こすことで、この戦いをオリジナルキャラである呉鳳明の力と、彼が魏の軍事面でのトップに立つまでの伏線に利用し、また、信や王賁(おうほん)のステップアップの場としているのです。

今後、『キングダム』は政と呂不韋(りょふい)の決着が描かれるはずです。

そのときも、原先生はこれまでのように、最高の見せ場を用意してくれることでしょう。

あきちゃん
あきちゃん

紀元前、中国西方の秦国(しんこく)に、今は亡き親友と夢見た「天下の大将軍」を目指す若き千人将・信(しん)がいた。 かつて王都で起きたクーデターに巻き込まれ、現在の秦王・嬴政(えいせい)と運命的に出会った信は、自身の夢を ...

放送予定 - キングダム - NHK

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